【06】大家さんのための償却資産税

一定金額の償却資産を持っている大家は償却資産税なるものを申告し税金を納めないといけませんが、これがどういった税金かきちんと理解している方はあまり多くありません。

税理士の仕事を20年以上していますが、ひと昔はこの償却資産税については非常に緩い課税のされ方をしておりました。
しかし、電子化や税務署との情報交換などで市町村の徴税能力が上がってきたことで、今まで償却資産税について課税されていなかった大家さんも行政から突然問い合わせや現地調査など数年前から来るようになりました。

今回はその償却資産税の概要や、償却資産の申告方法について説明すると同時に節税ポイントもお伝えしたいと思います。

償却資産税の概要

貸家、アパートやマンションなどの固定資産を持っていると固定資産税がかかるため、賃貸経営をしている大家は固定資産税が5月頃に納税通知書なるものが送られてきていると思います。

さて、この固定資産税には「償却資産税」というものが存在することをご存知でしょうか。償却資産税は固定資産税の一部なため、まずは固定資産税について確認していきましょう。固定資産税とは、毎年1月1日時点で各市町村の固定資産課税台帳に固定資産の所有者として登録されている方に対して課税されます。
固定資産には①土地②建物③償却資産があり、それぞれに固定資産税が課されます。

償却資産は土地と建物(家屋)以外で事業に使うもののうち、パソコンや室内エアコン、駐車場のアスファルト工事やフェンスなど減価償却を行う資産を指します。つまり大家さんで賃貸経営に使用する資産で、土地と建物(家屋)以外と覚えてください。
では、具体的な手続きを見ていきます。

償却資産税の申告 

償却資産の所有者は、毎年1月1日(賦課期日)現在の所有資産について通常1月末日までに申告する必要があります。なお、消耗品は償却資産に該当しないため申告対象ではありません。

償却資産税の計算方法

〈評価額の算出方法〉
申告いただいた資産の取得時期、取得価額及び耐用年数から、個々の償却資産について評価額を算出します。
●前年中に取得したもの
取得価額×前年中取得分の減価残存率=評価額
●前年前に取得したもの
前年度評価額×前年前取得分の減価残存率=評価額
以降、毎年この方法により計算し、評価額が取得価額の5%になるまで償却します。
償却資産に係る評価額は、取得価額の5%を最低限度額と定めているため、5%から減価することはありません。

〈税額の算出方法〉
償却資産の評価額の合計を課税標準額(1000円未満切り捨て)といい、この課税標準額から次の計算により固定資産税額(100円未満切り捨て)を算出します。
●固定資産税額=課税標準額×税率(1・4%)
※課税標準額が150万円未満(免税点)の場合は、課税されません。

よくある間違いと節税のポイント

申告をするのは、私たち納税者なので申告対象なのかそうでないのかは、私たち自身で判断しないといけません。そのため、申告対象でないのに申告しても市町村側はわざわざ間違ってますよと言ってくれません。
そのため、対象になるか否かの判断は非常に重要です。

よく間違う例として、固定資産台帳で建物以外の種類(勘定科目)になっているからと言ってすべてが償却資産税の対象とはなりません。
例えば、防災設備でも屋外のものは償却資産税の対象になりますが、屋内の消火栓設備やスプリンクラー設備は家屋の評価に含まれますので償却資産税の対象にはなりません。

面倒ですが、税理士事務所でも知識が浅い担当者が考えないで手続きすることもありますので、大家側も任せっきりではなくちゃんとチェックすることも重要です。
今回も税理士法人ほはば代表の前田が執筆いたしました。

 

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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