【07】贈与の節税が出来なくなる?

世界の天候がおかしくなってきていますね。信じられないくらいの量の雨が降ったり、土砂災害も他人事ではないですね。日頃から、もしものために備えておこうと思っています。

さて、今回のテーマは贈与についてです。以前にも取上げた内容ですが、最近の報道で贈与の税金の取扱いが大きく変わるのではということが言われています。その点について、贈与が節税になるという本質をご説明した上で、どのように改正が検討されているかご説明したいと思います。

(贈与税の節税の本質)

民法では、贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。と書かれています。要するに、見返り無しにお金や不動産などを『あげるよ!』『うん!ありがとう。』で成立します。

ただ、この際に価値が一定額以上だと税金をかけるというのが『贈与税』です。
贈与税は、1月1日~12月31日の間にいくら貰ったかで翌年3月15日までに確定申告して税金を納める仕組みになります。

どれくらい贈与税がかかるかというと、孫への贈与と考えると、110万円までだと贈与税は0円、200万円だと贈与税は9万円、500万円だと贈与税は48・5万円、1000万円だと贈与税は、177万円という感じになります。ちなみに1億円なら4799・5万円です。額が大きくなればなるほど負担が重くなる仕組みです。

例えば、お母さんの相続財産が2億円で、法定相続人がお子さん1人のケースですと相続税は4860万円になります。

もしも、生前にお孫さんに500万円贈与していれば、相続税は4660万円になり相続税は200万円安くなります。前でご説明したように贈与税は48・5万円ですからトータルで151・5万円得した訳です。

贈与する金額は、相続財産の大きさと法定相続人の人数で適正額は変わります。相続財産が少ないケースでは、過度な贈与が逆効果になることもあります。要は、何もしない場合と贈与した場合で、シュミレーションして損得を判断するのがポイントといえます。
細かいテクニック的なことはありますが、本質は相続税で払うより贈与税で払う方が得になるように金額を決めて実行することです。

(贈与税の節税が出来ない改正が・・・・)

特に富裕層は、毎年この贈与を繰返すことで大幅に相続税を減らしてきた事実があります。この点について、とうとう本気で国が動き出しました。本格的に検討され始めたのは昨年の2020年12月「令和3年度税制改正大綱」が提出されてからです。

令和3年度税制改正大綱では、相続税と税制改正の基本的な項目に、「資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討」と記載されています。つまり、贈与をいつしてもしなくても経済効果が変わらないようにしようということです。

言い換えれば、相続税・贈与税の一体化により、暦年贈与がなくなる可能性があると言えます。

実際海外では、資産を譲るタイミングに関わらず、一定期間の相続や贈与に関して累積して課税するなど、税負担の回避を防止する仕組みが実施されています。

贈与による節税ができなくなると、相続税の節税対策に影響を与えます。生前贈与をしようと考えている方は、改正前に早めに対策を打たれることをお勧め致します。
今回も税理士法人ほはば代表の前田が執筆いたしました。

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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