【11】副業収入で節税ができなくなる?

ども、税理士法人ほはば代表の前田です。コロナ感染者数がまた大きく増えましたが、一方で人の流れはコロナ禍前に戻りつつあるようです。
日本百貨店協会によると、8月1日から17日までの売り上げは去年の同時期と比べて30%増え、コロナ禍前の85%程度まで回復したそうです。

一方、外国人観光客による売り上げはコロナ禍前の36%という数字で、「中国本土からの観光客が戻るまでは本格回復にはならない」ということです。暗いニュースが多い中、人間らしい生活が戻ってきた少し明るい知らせでした。
コロナ禍という経済環境と国の施策もあってか、最近は勤めながら副業するケースが増えたように感じます。そんな中、大企業に厚労省が副業制限なら理由公表を求める方向と言ったことが報じられ、さらにその流れは加速しそうです。
副業といっても物販やフードデリバリー、クラウドソーシングを使い本業のスキルを活かした仕事するなど様々です。

税金の視点で副業を見た時、小賢い人はこの副業を使って節税と称してやりすぎの税逃れをしている方も多くなったように感じます。具体的には、年間100万円ほどの売上にも拘わらず、経費を200万円も計上して、出た赤字を本業の給与から差し引く、いわゆる損益通算をし、税金を還付するようなことをしているのです。問題は、その200万円が本当に経費なのかという問題ですが、税務署も資源に限界があるので、そこまで厳しくすべてを取り締まれないのが実情でこういった手法が横行しています。

そういった背景もあり国税庁はこの8月1日、所得税基本通達の改正案を公表し、パブリックコメントの募集を始めました。つまり、改正に本腰を入れたわけです。
所得税基本通達の改正案では、副業で得た収入の所得区分について、以下のように記載しています。

事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。
つまり副業で得た収入が300万円以下の場合は、原則として「事業所得」ではなく「雑所得」として扱うということが書かれています。

では、事業所得が雑所得になるとどうなるのでしょうか?

①雑所得は青色申告が出来ず、白色申告しか出来ません。
(青色申告控除・専従者給与・少額減価償却資産の特例などが適用できません。)
②他の所得との損益通算ができない。
③損失の繰越が認められない。

つまり前述した副業を使って節税と称してやりすぎの税逃れができなくなったと言えます。詳細はこれからですが、改正は既定路線で令和4年分から適用と言われています。

一方、不動産オーナーも関係あるのかと言えば、アパートなどの賃貸収入は、「事業所得」ではなく「不動産所得」にあたります。不動産オーナーへの影響はないと今のところは言えます。
節税と規制は常に、いたちごっこです。規制がされればまた新しい節税というものが出てきます。節税というと耳障りのいい言葉ですが、内容をよく見極めて行動していただきたいと思います。

税理士法人ほはば代表の税理士の前田が執筆いたしました。

 

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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