【13】65年ぶり!生前贈与に大増税!

ども、税理士法人ほはば代表の前田です。
今日は12月15日に出筆しておりますが、実は明日、令和5年度税制改正大綱が発表予定です。この大綱の内容でおおよそ税制改正の全貌が明らかになります。とはいえ、新聞報道各紙面で情報が出てきておりますので、まずは、その中でも読者の皆さんに大きく関係しそうな内容をお届けいたします。

それは、65年ぶりのルール改正となる生前贈与の「節税つぶし」です。実質的な相続税の増税になってしまうという改正です。
まず生前贈与の節税がどういうことかと言いますと、財産を生前に分割して贈与する場合、相続税よりも低い税率が適用されるため、生前に小さい額で贈与すると相続税の節税になるというものです。

『生前贈与の節税法』の具体例でみる改正の影響

例えば3億円の預金があるお父様がいるとします。奥様は、既に他界され相続人は、長男だけの場合。相続が発生すると相続税は、9,180万円になります。
このケースで、毎年110万円を子供に贈与していき15年間贈与できたとします。
暦年贈与の場合は、110万円までは、贈与税がかかりません。
その時点で相続が発生した場合、相続人に対して行った3年前までの生前贈与は持ち戻し(なかったことにされる)ため、相続財産である預金残高は3億円ー(110万円×12年)=2億8,680円となります。その結果、15年かかりましたが相続税は、8,586万円となり、594万円の節税になります。

これが、今回の改正で持ち戻しが3年から7年に改正されるというのです。

結果、右のケースでは、相続財産である預金残高は3億円ー(110万円×8年)=2億9,120円となります。その結果、相続税は、8,784万円となり改正前より198万円の増税となります。

『効果的な生前贈与』

きっちり、相続税対策をされている方は、110万円ではなく毎年500万円で贈与を上記ケースでしたとしましょう。
その場合改正前では、贈与税727.5万円+相続税6,334.5万円=7,062万円になり2,118万円の節税効果になります。
改正後は、贈与税727.5万円+相続税7,040.5万円=7,768万円となり改正前より706万円の増税となります。
つまり、効果的な節税をしてきた富裕層には大きな増税となるということです。
ただし延長した4年分については、総額100万円まで相続財産に加算しないとしています。
合算する期間は、2027年1月以降、段階的に延ばし、2031年1月に7年となりそうです。

国税庁のまとめによれば、2021年分の確定申告で贈与税の申告書を提出した人は前年比9.5%増の53.2万人。申告納税額は同20.0%増の3,327億円でした。
2021年にはルール改正の実施や賃金アップといった贈与を促すイベントは特になかったため、この改正が現実味を帯びてきたことによる駆け込み贈与によって増えたとみていいですね。2022年も年末に多くの贈与のお手伝いをさせて頂きました。
この改正により、生前贈与のスピードが失速するかもしれませんね。

一方で政府としては、2,500万円までの生前の贈与について、いったんは非課税としたうえで、相続の際に合算して課税額を計算する「相続時精算課税制度」も見直す方針です。
今までは、少ない金額の贈与でも税務署に申告する義務がありましたが、見直しによって、贈与税の基礎控除である110万円とは別に、毎年110万円以内の贈与は、相続時に申告しなくてもよいようにする予定です。
今回の税制改正は政府の増税傾向が強くなってきたと感じます。我々は、知恵を絞り対応していく必要がありますね。

税理士法人ほはば代表の税理士の前田が執筆いたしました。

 

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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