【14】賃貸用アパートを売却した年の裏技節税
ども、税理士法人ほはば代表の前田です。確定申告時期シーズンに突入しました。令和4年分の確定申告のお客様を見ていると不動産を売却する方が多くなった気がします。
コロナ禍で不動産価格は、大きく値を下げた時期もありましたが、最近はやはりインフレ傾向や円安のため海外勢からの日本の不動産購入の流れが強くなってきていいます。2022年の公示地価、基準地価などでは回復傾向が見られており2023年の公示地価ではさらなる回復も期待されます。
そんな背景もあり、不動産売買は多くなっています。確定申告時期、不動産を売却したので申告をお願いしたいという飛び込みのお客様が多いのですが、その際いつも言われるのが『先生!税金安してな!』です。(笑)
いつの世も税金は少なくしたいもの。しかし、不動産を売却した後に節税と言われてもそんなに裏技があるわけではありませんが、その中でも結構、税理士さんも見落としがちな節税方法を1つご紹介しましょう。
その名も『減価償却する?しない?の裏技』では、具体的に説明していきましょう。
(具体例)
10年前に1億円で購入した賃貸用アパートが、年末に1億円で売却できるということで、売却を検討しています。譲渡所得税はどれくらいになるでしょうか?また節税方法はありますか?
①前年の建物帳簿価額は、3,290万円
土地の帳簿価額5,000万円
②仲介手数料は、3,366,000円
③不動産所得500万円
給与所得1,500万円
④この不動産を今年減価償却する場合 の金額は1,900,000円
このような例で考えていきます。
譲渡所得税を考える
不動産を売却した場合は、まずその不動産売却に儲け(譲渡所得)が発生するかを考えます。計算方法は以下の通りです。
(譲渡所得の計算)
譲渡所得=譲渡収入︱(取得費+譲渡費用)
例で当てはめると
13,734,000円=1億円ー(3,290万円円+5,000万円)+3,366,000円
となります。
5年を超えて所有すると「長期譲渡所得」になりますので税率は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)を乗じます。およそ280万円の税金となるわけです。
そこでポイントは売却した年の減価償却の取扱いです。意外に理解していないのが売却する年の減価償却は、原則しないことになっています。ただし、しても構いません。ポイントは譲渡所得と総合所得の税率です。
例の場合、不動産所得と給与所得が高い方ですので総合所得の税率は、50%(所得税40%+住民税10%)になりますので原則通り、減価償却をしないのがポイントです。何も考えず減価償却をしてしまうと不利になってしまいます。
およそ56万円も損してしまうのです。意外に間違いの多いですので納税者になりうる皆さんもご注意ください。
売却した不動産が所有期間5年以下の場合は「短期譲渡所得」になるため税率は39.63%(所得税30.63%%+住民税9%)高くなるため、減価償却した方がいい場合も多くなりますので比較計算を意識するように税理士事務所に伝えておくのも損をしないポイントかもしれません。
売却年はこれに限らず、特例なども少なからずありますので専門家に是非ご相談ください。
税理士法人ほはば代表の税理士の前田が執筆いたしました。
PROFILE
税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)
2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。
税理士法人ほはば
【東京本社】〒102-0083 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル18F
【大阪本社・会計センター】〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田2-4-13 6F
【福岡本社】〒810-0801 福岡県福岡市博多区中洲5-3-8 アクア博多5F
連絡先 TEL:06-6343-3838 FAX:06-6343-4848
http://www.hohaba.com/