【17】暦年贈与制度の持ち戻し期間の延長とすべき対応

ども、税理士法人ほはば代表の前田です。最近、相続税の『持ち戻し』に関し質問をよく受けますので、このことについて令和5年度の改正を含め、お話したいと思います。

相続税とは、その方が亡くなった時点でどれだけ多くの財産を持っていたかによって税金の多い少ないが決まります。
したがって、生前に財産を贈与してしまえば、贈与税はかかりますが、その分は相続税の計算から除かれるのです。
つまり、亡くなる直前に贈与税の負担が少ない範囲で贈与をすれば、相続税の負担を大幅に削減できてしまうことになります。

そこで、以前から相続開始前3年以内に贈与された財産は、贈与がなかったものとして相続財産に含めることとされていました。
このことを『持ち戻し』と言われます。つまり持ち戻しが行われると生前贈与しても相続税の節税にはなりません。

令和5年度の税制改正によれば、この持ち戻しの対象となる暦年贈与が、これまでの相続開始前3年以内から7年前に拡大されます。
ただし、新たに対象となった4年間の贈与については、合計100万円の非課税枠が設けられることとなります。

この改正は2024年1月1日以降に行われる暦年贈与から順に適用されるため、2027年1月1日以降に発生する相続から影響を受けます。
言い換えれば、2023年つまり今年の12月末までに贈与を行えば、令和5年度の改正の影響は受けずにすみます。
また、この『持ち戻し』ルールにおいて、相続人でない孫やひ孫への贈与は引き続き対象外となりましたので、変更はありませんでした。
つまり、亡くなる直前にする贈与については、相続人でない孫やひ孫への贈与は節税策として今も有効ということになります。

この持ち戻しの改正は、相続税と贈与税が一体化の流れの一環と言えます。今後さらに贈与税制が改正されると、これまで行っていた節税対策ができなくなったり、相続税の納税額が膨らんだりする可能性があります。
しかし、相続税と贈与税が一体化されたからといって、生前贈与による節税が全くできないわけではありません。税制改正後に効果的な対策方法は存在します。

具体的には、価格が一時的に下がっているものの贈与・将来値上がりが大いに期待されるものの贈与・収益を生むものを贈与すると言ったものです。

年々富裕層をターゲットとした増税施策が目立ちます。積極的な対策が皆様の資産防衛に繋がります。贈与対策にご興味を持たれた方は、税の専門家、税理士に是非ご相談ください。

税理士法人ほはば代表の税理士の前田が執筆いたしました。

 

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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