【22】賃貸マンションオーナーの新しい節税方法 ~賃貸住宅修繕共済とは~
ども、税理士法人ほはば代表の前田です。今回のテーマは、賃貸マンションオーナーの新しい節税方法という非常に興味深いテーマです。賃貸住宅修繕共済という制度をご存じの方は、非常に少ないと思います。実際、税理士の先生でもご存じではない方が多いのが事実です。
この賃貸住宅修繕共済とは、全国賃貸住宅修繕共済協同組合が運営を行い、国土交通省が認可を与えた共済制度です。賃貸マンションオーナーが所有する賃貸住宅の大規模修繕に備えることを目的として2021年にスタートしたばかりで認知度もまだ低いものになります。
加入対象は、賃貸住宅のオーナーで、個人事業主・法人いずれの名義でも加入できます。
また、加入対象物件は、築50年以内の木造・軽量鉄骨造と、築60年以内のRC造などの賃貸物件ですので門戸は広いと言えます。
次に共済の補償対象範囲です。外壁・屋根・軒裏のみに限定でしたが、2023年12月からは、廊下や階段、給排水設備、消防設備なども補償対象範囲となりました。
次に掛金です。賃貸住宅修繕共済制度には「戸数別モデルコース」と「長期修繕計画書作成コース」の2つの加入コースがあります。
戸数別モデルコースは、戸数に合わせて掛金が変わります。1棟当たり2~6戸の集合住宅の場合、月払いの掛金額は2万円~6万円ほどになります。
長期修繕計画書作成コースは、組合所定の修繕計画書を提出し、予想される修繕費と補償希望額、修繕予定などから掛金を算出します。共済期間は、いずれも10年以上50年以内で、1年刻みで選択することが可能です。
具体的に、この共済制度のメリット・デメリットを以下にまとめて見ました。
【メリット】
①共済掛金(修繕積立金)は、全額必 要経費として計上できる。
②大規模修繕の計画が立てやすい。
③建物の維持により安定した賃貸経 営を実現できる。
④共済加入後は、代理店となる管理 会社が年に1回、定期検査を無償で実施する業者もあるので建物の資産価値を維持できる。
【デメリット】
①補償対象となるのは修繕工事のみ。
②長期修繕計画書作成コースを選択 する際には長期修繕計画書の提出 が必要。
③期中解約や満期を迎えても掛金の 返戻はない。
④劣化している箇所は加入前に修繕 する必要がある。
特に、デメリットの③期中解約や満期を迎えても掛金の返戻はない。は経営資金に窮した場合でも、修繕の目的以外には共済からの引出ができないという非常に大きなデメリットです。
その代わりに、支払時に全額経費で処理ができ大きな節税効果を共済期間に享受できます。
また、解約時に返戻がないことから修繕前に相続が発生してもこの共済が請求されていない状態では、積立てた共済掛金は相続税の課税対象になりません。もちろん相続人はこの共済自体は引継げます。税務メリットが非常に大きい制度と言えます。
まだ制度自体ができて歴史が浅いため今後多くの運用上の疑問も出てくるかと思いますが税務メリットが大きい制度ですので勉強して利用すべき制度と筆者は考えています。
以下公式HPになります。ご参考にしてください。
https://shuzen-kyosai.jp/
PROFILE
税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)
2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。
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