【26】不動産管理会社は、合同会社より株式会社にしてください!

ども、税理士法人ほはば代表の前田です。今回のテーマは、不動産管理会社は、合同会社より株式会社にしてください!です。大家さんが法人化するケースが多くなってきています。法人と言っても、株式会社、合同会社、一般社団なんていうのも聞きますが、結論から申しますと私がコンサルする場合は必ず株式会社で法人を創って頂きます。
しかしながら、税理士や司法書士のアドバイスを受けずに、ご自身で法人を設立してくる方が増えてきました。単純に費用面から判断して、ご自身でされるのですが、タダより怖いものはない。専門知識なしに行動することは、やはりそれ相応のリスクがあります。なぜ不動産管理会社は、合同会社より株式会社が優れているのかをお話ししたいと思います。

まず合同会社のメリッットいえば、ズバリ!コストの安さです。
まずは、設立費用ですが株式会社は30万円近くかかるのに対し、合同会社は15万円程度の費用で設立できるという点があります。
また、維持コストとしても合同会社は「役員任期の更新がいらない」ため、役員任期のごとにかかるコストを抑えられるだけでなく、法務局への登記申請などの手続きの手間も省けるため、余計なことに時間をとられずに本業にしっかり打ち込むことができるでしょう。
他にも、細かのことがありますが私からすればさほど大きなメリットは他にないと言えます。
安いのが一番だということで若い経営者の方が、合同会社にされるケースをよく見ます。
データによると2023年には、新設法人の約26.5%が合同会社になっています。
では、私がなぜ不動産管理会社は、合同会社より株式会社にしてください!というのかです。それは、合同会社の①運営上のデメリット②相続時のデメリットが大きいからと言えます。

① 運営上のデメリット
合同会社では、株式会社のように取締役、会計参与、監査役といった役職は存在しません。代わりに、社員(出資者)が会社の経営を担うため、役員(業務執行社員)は社員が行います。つまり原則、所有と経営が分離されていないと言えます。このため、印鑑証明書が取れない15歳未満の未成年の孫に価値が上がる前の持分を贈与することができない理屈になります。
また、合同会社には、非常勤役員という概念はありません。したがって、遠方に住む娘に非常勤役員にさせて月10万くらいの役員報酬をだす。などという会社の所得を身内に分散するということもやりにくくなります。これらのデメリットは、不動産管理会社の役割を大きく毀損することになります。
② 相続時のデメリット
相続時のデメリットは、大きく分けて2つです。一つ目は、合同会社の経営者が死亡した際に、定款に社員の地位承継の定めがない場合です。その場合、最悪はその会社は解散となります。そして、解散となった場合は、被相続人である経営者に、出資分よりも頑張って増やした会社の財産に対し、みなし配当として所得税が課税されるという問題があります。
対策としては、定款に以下の通り記載しておくことと、相続人が複数いる場合は遺言書で誰に相続させるか特定しておく必要があります。
【定款の記載例】
第〇条  当会社の社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合には、当該社員の相続人その他の一般承継人は、当該社員の持分を承継して社員となることができる。

なぜ遺言書も必要かというと共同相続人が相続分に応じてその地位を承継することとなり、遺産分割協議によって、単純に一人だけ社員にするということはできないと考えられます。いったん共同相続人全員が社員となった上で、任意退社又は持分譲渡をするという税負担も時間の手間もかかるという事態になります。

二つ目は、合同会社の持分の評価についてです。
社員が死亡した場合の地位の承継に関して上に記載した定款に別段の定めがない場合には、その社員の出資持分は「払戻請求権」として評価します。逆に定款に別段の定めがあり、相続人が持分を承継する場合には、「出資」として、取引相場のない株式の評価方法に準じて評価します。言い換えると株式会社の評価と同じものとなります。
払戻請求権として評価された場合、評価方法は詳しく記載しませんが、持分「出資金」として評価する場合より高く評価されるケースが多いです。

相続時のデメリットの対策は、定款において別段の定めを設け、遺言書を作成することで対応可能ですが、株式会社であればそもそもこんな落とし穴はありませんし対策も不要です。

如何だったでしょう。かなり複雑なところもありますが、不動産管理会社にとって有利性がないのに合同会社で節税対策をしたいでしょうか?上で話したことは、税理士もあまり気が回っていないところでもありますので、既に合同会社で設立した方は定款チェツクは必須ですね。賃貸経営は税金との戦いです。賢く節税していきましょう。
税理士法人ほはば代表の税理士の前田が執筆いたしました。

 

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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