【29】駐車場のアスファルトも 相続財産?

ども、税理士法人ほはば代表の前田です。

土地や建物の相続評価を考えるとき、意外と見落とされやすいのが「構築物」です。構築物とは、建物ではないけれど土地にしっかりと定着している工作物のことで、たとえば塀やフェンス、舗装された駐車場、広告塔、貯水槽、外構の一部などが代表的な例です。建物とは別に評価対象になるにもかかわらず、相続税の申告では見落とされがちで、後から税務調査で指摘されるケースも少なくありません。

相続税評価では、財産評価基本通達に基づき、「再建築価額(同じものを今つくったらいくらか)」から経過年数に応じた減価額を差し引き、その70%を評価額とします。
式にすると「(再建築価額 − 償却額)× 70%」。償却方法は通達上、定率法が前提です。実務では再建築価額の算出が難しい場合、取得価額をもとに簡便的に計算することもあります。

一方で、構築物の多くは地方税である「償却資産税(固定資産税の一部)」の対象にもなります。ただし、評価の考え方は相続税とは異なり、帳簿上の取得価額と耐用年数、減価償却額をもとに毎年評価・課税されます。つまり、同じ構築物でも「相続税評価」と「地方税評価」では目的と時点、計算方法が違うのです。
実務上、この両者の整合がとれていないケースは少なくありません。
また、構築物と建物附属設備の区分も重要なポイントです。建物と一体になっているものは家屋として評価される場合がありますが、独立した舗装やフェンスは別途構築物として扱う必要があります。評価区分をあいまいにしてしまうと、過小評価や過大評価の原因となります。

このため、まずは土地の上にどのような定着物があるかを丁寧に洗い出すことが大切です。そのうえで、建物・附属設備・構築物をきちんと分類し、取得価額や耐用年数をもとに評価額を算出します。そして、固定資産税・償却資産税の申告状況と照らし合わせることで、申告の整合性と精度が高まります。

相続税については、従来はあまり調べられなかった実務がありますが会計検査院の指導もあってか最近よく争点になりますのでみなさんご注意ください。

 

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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