【27】え、住民票が命運を分ける?! 富裕層の海外転出と「台帳課税主義」の攻防戦!

ども、税理士法人ほはば代表の前田です。大きな派遣会社の社長で大臣だった人が住民税を納めていなかったという話がお客様との会話で話題になったのでどんな手法で行っていたと噂されているのかを少しまとめて見ました。今回は、身近な「住民税」にまつわる、ちょっとドラマチックな攻防戦のお話をお届けします!

皆さんの住民票は、どこにありますか? 高槻市?茨木市?その「住んでいるところ」が、実は住民税を語る上でめちゃくちゃ重要です。

日本の住民税は、「台帳課税主義」という考え方に基づいています。これは「1月1日時点で住民基本台帳(住民票)に載っている住所に基づいて課税しますよ」ということ。つまり、どこかの市町村に住民票がある限り、基本的にそこに住民税を納める義務が発生するのです。

さて、たくさんお金を持っている「富裕層」の皆さんの中には、高額な住民税を避けるため、年末年始にわたり海外に移住を考える人もいます。もし日本の住民基本台帳から名前が消えれば、原則として住民税を課税できなくなるわけですから。

しかし、日本の税務当局も黙って見ているわけではありません。明らかに住民税を逃れるためなら追徴も行います。また国が新たに導入したのが、通称「国外転出時課税」という制度です!

これは、特定の上場株式など、一定の金融資産を持っている人が海外へ転出する際、その資産が「売却されたもの」とみなして課税するという制度です。つまり、「せっかく日本で稼いだお金や資産なのに、税金逃れのために海外に持ち出すのは許しませんよ!」という、税務署からの強いメッセージなのです。これにより富裕層は安易に海外に移住できなくなりました。

この制度は、海外転出による課税逃れを防ぐためのもので、日本の税収を確保するための重要な砦となっています。もちろん、本当に生活の拠点を海外に移すのであれば問題ありませんが、「形式的に住民票だけ海外に移して、実際には日本に住んでいる」といったグレーなケースは、厳しくチェックされます。

この「国外転出時課税」の導入と、「実態認定」の綱引きが、まさに税金を巡るドラマであり、税務当局と富裕層の知恵比べでもあるわけです。

この話は、ちょっとスケールが大きいですが、実は私たちの税金が、「どこに住んでいるか」というシンプルな情報と密接に結びついているかを教えてくれます。そして、その背後には、公平な税負担を求める社会と、個人の自由な選択の間のせめぎ合いがある…そんな奥深さを感じさせてくれるのではないでしょうか。

税金って、知れば知るほど面白いものですね!今回は税金の都市伝説のようなお話でお送りしました。税理士法人ほはば代表の税理士の前田が執筆いたしました。

 

PROFILE

税理士法人ほはば 代表税理士
前田 興二(まえだ こうじ)

2011年10月に税理士法人ほはばを設立し、同法人の代表に就任。税理士業界ではじめて日本マイクロソフト社にそのIT活用の事例取材を受けるなどITを活用し、お客様の経営コストの削減と業務の効率化を徹底的にサポート。不動産オーナーや法人関与先数は400を超える異例の支持を受けている。不動産オーナーに対し、不動産管理会社の設立による節税をはじめ、相続を見据えた生前の不動産対策を提案をすることで更にその支持が広がっている。

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